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よろしければ感想をひとこと残していってくださいね。
古い作品でも大歓迎です。


初めまして(2012.09.03)
名前:莉理(URL)

初めまして、携帯小説サイトを探していてここにたどり着きました。

平次と和葉、いいですね。私も大好きです。二人だけの独特の掛け合いとお互い素直になれないツンデレぶり(?)がもう可愛くて!

cherry様はその二人の距離感や関係性をとても良く表現していると思います。

これから時々お邪魔させて頂きますね。

編集

(2012.09.04)
名前:cherry(URL)

莉理さん⇒初めまして☆
読んでくださってありがとうございます。
素敵な感想いただけて嬉しいです。
最近、訪問してくださる方が多いので、新しいお話も書かねばなぁと思ってます。
またよろしくお願いします~。

編集












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 真っ赤な光が、電車の中を照らしている、夕暮れ時・・・。
 眠っている二人にも、夕日は暖かな光を送っていた。
 少女の右手には、しっかりと握られた、ピンク色の貝殻。
 その手に、少年の左手が触れた・・・。

 いつもの朝が始まる。心地よい風と、照りつける太陽。雲ひとつない青空。
 二人は、いつものように学校へと向かう。
 平次はふと、空を見上げた。空は、どこまでもどこまでも青くて、吸いこまれてしまいそうになる。こんな日は・・・。
「・・・俺、今日学校行くのやめるわ」
「へ?なんでやの、平次」
「見てみぃや。こんないい天気なんやで。授業なんか受けてられへんわ。俺、どっか昼寝でもしに行ってくるわ」
 そう、こんな日は、近づいてくる新しい夏に、溶けてしまいたくなる。
 しかしこんなとき、黙っていないのが和葉である。
「ほんなら私も行く!!」
「はぁ?なんでやねん」
 平次の面倒くさそうな顔を見るのは、もう日常茶飯事のことのようであるが、こんなところでめげているわけにはいかない。
「ええやんかぁ。平次、いっつも一人で勝手にどっか行ってまうんやから、たまには一緒に連れてってぇな」
「たまにはって・・・、そう言っていっつもいっつもついてきよるのはどこの誰やねん」
「さあ、誰やろなぁ、心あたりないわぁ。ま、そういうわけやから、行こか。どこ行くのん?」
「まったく、しゃあないなぁ・・・。あとで授業サボったこと後悔しても知らんで」
 なんだかんだいっても、最終的にいつもいつも和葉を連れて行くのは、他ならぬ平次なのである・・・。

 制服のまま飛び乗った電車は、初夏の日差しの中を駆け抜けていく。
 平次は大きく伸びをすると、鞄を座席に投げ捨てた。
 通勤時間だというのに、思いのほか、人は少なかった。
「このまま眠って、目ぇ覚めたときには、どっか知らん国までたどり着いてそうな、そんな感じやな」
 そう言って平次は瞳を閉じた。
 平次は時々、ロマンチックなことを言う・・・。
 そんなことを思いながら、和葉もその瞳を閉じようとしたが、ふと、向かいに座ってこちらの様子をにこやかに見つめている老人と目が合って、思わず赤くなって俯いた。

 ふと、視界が開けた気がして、和葉は窓のほうへ振り返った。緑の森を抜け、和葉の視界に入ったのは、どこまでも果てしなく広がる海の世界だった。
「平次!見てや。海が見えるで」
 窓の外を見つめたまま、平次の肩をたたいてから、和葉は平次のほうへ振り返った。太陽の日差しが、平次の顔を照らしている。思わず、その寝顔に引き込まれてしまう。
 平次が、目を覚ました。
「・・・平次って、夏の似合う男やったんや」
「はぁ・・・?」
 思わず言ってしまってから、和葉は、まだ半分頭の中が眠ったままの平次に慌てて弁解する。
「あ、せやから、色黒やからな」
「・・・なんやそれ。おまえなぁ・・・」
 平次はいつものように和葉につっかかろうとするが、和葉はそのまま平次から視線をそらすと、海のほうを向いてしまった。

 海辺は、数人が海を見に来ているほかは静かなものだった。
 二人は、並んで砂浜に座り込む。
「はぁ、えぇ気分や」
 そう言ってそのまま、平次は砂浜に寝転がった。
 和葉はそんな平次を見つめる。
・・・やっぱり・・・。
「日差しが眩しいわ。夏が来たんやなぁ」
 平次が手のひらで日差しを遮りながら、和葉に言う。だが、平次が見つめた和葉は、なんだかうかない顔をしている。
「どないしたん?海見て慌てて俺起こしたわりには、なんやあんまり嬉しそうやないねんけど」
「やっぱり、私帰ろかな・・・」
 ふいに和葉が、俯いたまま呟く。
「あ、ここまで来て、授業サボったこと後悔しとんのやろ。せやから言うたやんか」
「そうやないの。そうやなくて・・・」
 和葉は言葉を濁した。
 だって、言えへんやんか。平次があんまりかっこえぇから・・・、なんて。
 電車の中でも、ここでも、私たちってどういうふうに見られてんのやろ。私なんか、平次に全然つりあってへんのやろな・・・。
 そんなことを考えると、なんだかやりきれない気持ちになってしまう和葉。いつも強がりな和葉でも、平次と二人きりになると途端に恋する乙女に早変わりしてしまうのだ。
 そんな和葉の気持ちを知ってか知らずか、しばらく考え込んでいた平次が、空を見つめたまま呟いた。
「なんや知らんけど、和葉がそんな顔しとったら、おもしろないわ」
「・・・え?」
 平次は起き上がると、和葉をじっと見つめた。眩しい・・・。
 せやから、この顔が私を不安にさせるんやって・・・。
 顔を背けそうになった和葉の頬を両手で支えて自分のほうに向かせると、平次は真顔で言った。
「おまえ笑てたら可愛いねんから」
 和葉は思わず平次を見つめた。
 ・・・え?今、なんて?
「海が気に入らんのやったら和葉の好きなとこ連れてったるから、せやから」
 平次は和葉の頬をつねって思い切り引っ張った。
「せやから笑え!」
 和葉が、平次の手首をつかむ。
「痛いやんかぁ、アホッ!」
「な、怒ることないやんか!せっかく元気づけたっとるのに」
 平次が和葉の両頬をはさみ、その両手首を和葉がつかんだまま、しばらくの沈黙。やがて、二人は同時に笑い出した。
 変な感じ。冗談だか本気だか分からへんけど、平次に"可愛い"って言われただけで、今まで悩んでたこと全部どうでもよくなってまうんやから。
 平次につりあわへんて?それでええやんか。私は私で、背伸びして平次についていくんや。平次が、私の笑顔がいいって言うんやったら、とりあえず今は笑顔でいたい。
 和葉は、平次の顔を見つめながら思う。
「ほらな。やっぱ笑ったほうがええやんか。それにやな、なんや、こうやって二人でおると・・・」
「『兄弟みたいでおもろいやん』?」
「いや、そうやなくてやな・・・」
 恋人同士みたいやなって・・・。
「あ、ちょっと待ちや」
 何かに気づいた平次が、近くの岩場へ駆けていってしゃがみこむ。
「ちょっと平次ぃ、ごまかさんといてよぉ」
 平次はすぐに戻ってきた。手に何かを握っている。
「手ぇ出してみぃや」
 そうして平次が和葉の手に乗せたものは、小さなピンク色の貝殻だった。
「わぁ、可愛い!」
「よっしゃ、遊ぼ!」
 平次は鞄と靴を放り投げると、制服のまま海の中へと駆けていった。
 なんか、ごまかされてるような・・・。
 そう思いながら、和葉は手のひらの中の貝殻を見つめる。
 ・・・ま、ええか・・・。
「よぉし!私も行くで!」
 和葉は駆けだした。

「・・・やっぱ和葉がいちばんやな」
 帰り道、夕やけ色の電車の中。
 眠っている和葉の、貝殻を握り締めた手に触れながら、平次がそんなことを呟いていたことは、誰も、知らない・・・。


夏色の風吹くBLUE SKY
すじ雲が流れる
飛び乗った電車は 恋のナビゲーター

向かい合って座った
窓際のシートで
たどり着いた場所は 海が聞こえる駅

指先が触れる度 ときめいて とまどって
一言も話せない
ただ夏のメロディーだけ聞こえた

YOU ARE MY SUNSHINE
あなたの横顔 見つめる程 まぶしくて
YOU ARE MY SUNSHINE
制服のままで 駆け抜けた
二人の夏

YOU ARE MY SUNSHINE
海鳥の声も 波の音も LOVE SONG
YOU ARE MY SUNSHINE
手のひらにそっと渡された ピンクの貝殻


岡本真夜「制服の夏」(岡本真夜「SUN&MOON」 徳間ジャパンコミュニケーションズ)






よろしければ感想をひとこと残していってくださいね。
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初めまして(2012.09.03)
名前:莉理(URL)

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平次と和葉、いいですね。私も大好きです。二人だけの独特の掛け合いとお互い素直になれないツンデレぶり(?)がもう可愛くて!

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まとめ
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