merry christmas~おくりものが届くとき~








 サンタクロースって信じますか?最近は、信じてくれる子供が少なくなってしまったけど、サンタクロースは本当にいます。信じてくれる子供達のところには、ちゃんと毎年プレゼントが届くんです。
  でも、いくらなんでも、世界中の子供達にプレゼントを配るのは大変・・・。サンタクロースは1人だと思っているかもしれないけど、本当はたくさんいるんです。毎年何人もの人がサンタクロースに弟子入りして、そして、1つの街に1人ずつ、サンタクロースはやって来るんです。
 これは、そんな中の1人、ある新人サンタクロースのお話。

 そのサンタクロース、今回が初仕事。まだ、白くて長いひげも生えていないお兄さん。やる気は十分です。
 今回行くのはとても小さな街。でも、サンタクロースを信じている子供が、たくさんいます。
 12月24日。クリスマスイヴ。今日は、街の子供達のほしいものを、いちばん大きなお星様に住んでいる、いちばん年取ったサンタクロースから、もらってこなければなりません。そして夜には、街の子供達にこっそりプレゼントを届けなければならないのです。
「よぉし、出発だぁ!」
 いちばん大きなお星様までは、すごく遠いけれど、トナカイの引くそりに乗っていけばひとっとび。

 いちばん大きなお星様のところにつくと、まわりには小さなお星様がいっぱい。子供達がサンタクロースにしたお願い事は、小さなお星様になって、その1つ1つに、子供達のほしいものが入っているんです。何が入っているのかは、サンタクロースにも分かりません。
 新人サンタクロースは、自分の街に配る分のお星様を集めて、袋に入れていました。1つ1つ名前を確かめて、ちゃんとみんなに届けなければなりません。
 最後のお星様になりました。
「長尾聖也くん・・・。よし、これで全部だ」
 長尾聖也くんのお家は、パパとママがお仕事で忙しいから、いつも聖也くんはひとりぼっちで遅くまでお留守番。そんな聖也くんのほしいものって、何なんでしょう。

 全部のお星様を袋に入れ終えて、サンタクロースはまた、そりに乗って街へ戻ります。ところが大変、そりの先っぽが雲に引っかかってしまいました。トナカイと力を合わせて、そりを引っ張ったんですが・・・。
「あっ!!」
 そりが揺れた拍子に、袋に入っていたお星様がひとつ、落っこちてしまったんです。聖也くんのお星様が・・・。袋の口が、ゆるんでいたみたい。
 お星様をとろうとしたとたん、サンタクロースもそりから落ちて真っさかさま!!

「いたたたた・・・」
 サンタクロースは、ちょうど木の上に落ちたから大丈夫だったけど、落っこちてしまったお星様は、別のところにあるみたい。まわりを見渡しても何処にも見あたりません。あのお星様の光がないと、トナカイにも見つけてもらえないし・・・。
 サンタクロースは仕方なく、歩いてお星様を捜すことにしました。人とすれ違っても、誰もサンタクロースに気付きません。だってここは、サンタクロースを信じていない、大人達ばかりの住む街。サンタクロースは、信じている人にしか見えないんですから。

「あれ?何だろ、これ・・・」
 お星様を拾ったのは、西本ほのかという女の人。お星様は、ほのかのお家の玄関の前に落ちていたんです。
 ところが、ほのかがお星様を拾うと、お星様の光はどんどん薄れていってしまいました。実はこのお星様、サンタクロースを信じていない人が触れると、光は消えてしまうんです。触れた人がサンタクロースを信じてくれないと、光は元には戻りません。
「・・・?」
 ほのかは、お星様を持って、お家に入っていきました。

 真夜中になりました。朝、子供達が起きてしまう前に、プレゼントを届けなくちゃならないんです。でも、お星様は見つかりません。
「おかしいなぁ・・・。どこ行っちゃったの?」
 そのとき、遠くの方で、ぼうっと光るものが見えました。薄くなってしまっているけど、あれは確かに落っこちたお星様の光・・・。サンタクロースは、光っている方へかけていきました。

「あった!!」
 窓から中を覗くと、テーブルの上にお星様が置いてあるのが見えます。
「あんなに光が薄くなってる・・・。あれじゃあトナカイを呼べないよ・・・」
 部屋を見渡してみると、ベッドでほのかが眠っています。サンタクロースは、窓をたたきました。
「ねぇ、起きてよぉ、ねぇってばぁ・・・」
「・・・なによぉ・・・」
 目を覚まして、寝ぼけまなこで窓の外を見たほのかはびっくり!
「ちょっ、ちょっと誰よあんた!」
「僕?僕はサンタクロースさ」
 サンタクロースは、得意げに答えました。でも、ほのかがそんなこと信じるはずがありません。
「あんたバカじゃないの?いい年して・・・。早く帰んなさいよ。警察呼ぶわよ」
 サンタクロースはとまどいました。
「え?・・・あ、あの、そのお星様・・・」
 ほのかは、ちらりとお星様に目をやりました。
「ん?あぁ、これ?これあんたのなの?分かったわよ、これ返すから早く帰って。まったく、何時だと思ってんのよ。そんな大事なもんならうちの前に置いてかないでよね」
 ほのかは窓を少し開けて、サンタクロースにお星様を渡しました。
「あ、あのね、これじゃだめなんだ・・・」
「・・・は?」
「この光じゃ、トナカイを呼べないんだ。君が、僕のことサンタクロースだって信じてくれないと・・・」
「何言ってんの?」
「君が、サンタクロースを信じてくれれば、このお星様は光を取り戻す。そうすれば、トナカイを呼べる。僕はそりに乗って、早く街の子供達にプレゼントを配らないと・・・」
「訳の分かんないこと言わないでよ。さっさと帰りなさいよ。でないと本当に警察呼ぶよ」
 ほのかが窓を閉めようとしたとき、お星様の中に、何かが見えてきました。
 聖也くんです。聖也くんが、熱を出して苦しそうにしています。パパとママは、まだお仕事から帰ってないみたい。このまま放っておいたら大変です。
「聖也くんが・・・。助けに行かなきゃ。でもここから聖也くんのお家まではすごく遠いんだ。そりで行かなきゃ間に合わないよ。だからお願い、僕のこと、サンタクロースだって信じてよ!」
 ほのかの心が、ちょっと揺らぎました。ほのかにも、聖也くんの姿が見えたんです。もし本当にこの子が苦しんでるとしたら・・・。
「そんな・・・、サンタクロースなんて、いるわけないじゃん・・・。私が子供の頃、クリスマスにはお父さんがプレゼントくれたもの!サンタクロースなんていないんだって、言われてたんだもの!」
「でも本当は・・・、心の奥では信じてるんだろ!?」
 ほのかははっとしました。
「本当は、本当はずっと、サンタクロースはいるんじゃないかって、思ってたんだろ!?だって、君には僕の姿が見える・・・。本当にサンタクロースを信じてない人には、僕は見えないんだよ。それに、本当に信じてない人がこのお星様を触ったら、お星様は光らなくなっちゃうんだ。でも、このお星様は光ってるよ。ほんの少しだけど、光ってるんだ」
 ほのかはうつむきました。本当はずっと、眠ってる間にサンタクロースがプレゼントを置いていってくれるんじゃないかって、夢見てたんです。いつか、目の前にサンタクロースが現れるんじゃないかって、思ってたんです。
 お星様が、輝きはじめました。
「早くトナカイを呼んで!・・・あの子を助けに行こう」
「・・・うん!」
 サンタクロースは、お星様を空にかざしました。
「トナカイ!」
 向こうから、トナカイの引いたそりがやってくるのが見えます。
「うわぁ・・・、本当に来たぁ・・・」
 2人はそりに乗ると、聖也くんの住む街の方へ向かいました。

 今まで熱にうなされて苦しそうにしていた聖也くんは、急に苦しさがなくなって、目を開けました。
「・・・!サンタさん!?」
「そうだよ。僕はサンタクロース!」
「ひげも生えてないし、変なヤツだけど本物よ」
 サンタクロースとほのかが、聖也くんに微笑みかけます。サンタクロースは、聖也くんのお星様を差し出しました。
「メリークリスマス!これ、サンタからのプレゼントだよ。受け取って」
「わぁ。ありがとう、サンタさん」
 聖也くんが、お星様を受け取りました。辺り一面柔らかな光に包まれていきます。お星様が、聖也くんのほしいものに変わるんです。
 ところが、光がなくなったとき、聖也くんの手の中には・・・。
「あれ?ちょっと、何もないじゃないの。どういうこと?」
「おかしいなぁ。中身だけ別のとこに落っことして来ちゃったのかなぁ・・・」
 聖也くんが笑って言います。
「ううん。違うよ。僕ね、誰かと一緒にクリスマスパーティーをやりたかったんだぁ。本当はパパやママと一緒にいたいけど、パパとママは大事なお仕事してるから、僕、迷惑かけないって決めたんだ。でも、クリスマスには、やっぱり誰かとお祝いしたいでしょ?だからサンタさんにお願いしたんだ。僕にはもう、2人がいるから、お願いは叶ったよ。一緒に、クリスマスパーティーやってくれるでしょ?」
 2人はもちろんうなずきました。
「よぉし!じゃあ今夜は3人で、楽しいクリスマスパーティーにしよう!」
 そして3人は、とても素敵なイヴの夜を過ごしたんです。でも、サンタクロースさん?何か、大事なこと、忘れてませんか・・・?
「あぁっ!あんた、他の子にプレゼントあげるの忘れてる!」
「しまったぁ、夜が明けちゃうよぉ!」
 ほのかは思わず吹き出しました。まったく、なんてうっかり者のサンタクロース・・・。
「急いでプレゼント届けなくちゃ」
「僕も手伝うよ」
「もちろん、私もよ」
 3人はそりに乗って、太陽が顔を出し始めた空に向かって、ひとっとび。

「何とか間に合ったよ。ありがとう、2人とも」
 3人は、そりの上から、街を見下ろしました。
「ねぇ、僕も、サンタクロースになれるの?」
聖也くんが尋ねます。
「なれるさ。大きくなるまで、ずっとサンタクロースを信じてくれたら、きっとなれるよ」
「また、来年も来てくれる?」
「もちろん」
「来年、かぁ・・・」
 ほのかはため息をつきました。でも、次の瞬間、いいことを思いついたんです。
「決めた!・・・私、来年まで待ってなんかいられないもの」
「え?」
「私今日からあんたの助手になるわ。いいでしょ?」
 3人をのせたそりは、シャンシャンと鈴の音をならしながら、聖也くんのお家の方へと、戻っていきます。

 このあともちろん、新人サンタクロースは、いちばん年取ったサンタクロースにさんざんお説教されたけど、でもきっと来年は大丈夫。しっかり者の助手がついてるんだからね。

 それでは、メリークリスマス!!





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